ロードバイク

★暑熱順化とは?ロードバイクで夏に強くなる科学的トレーニング法

夏のロードバイクで「全然踏めない」と感じたことはありませんか。
これは、暑さに体が慣れていないために起こる自然な反応です。
本記事では、暑熱順化の効果と実践法を研究データに基づいて解説します。

【結論】
ある研究では、暑さに慣れていない選手のパワーが16%ほど低下
しかし2週間ほど暑さに慣らすと、低下幅はわずか3%まで復帰に。
順化の速度や持続はコントロールできます。

暑熱順化とは?ロードバイクで必要な理由

近年は温暖化の影響か、6月でも「30℃を超える真夏日」が多いです。
せっかくの屋外ライドでヘロヘロになるのは避けたいですね。
暑熱順化とは、体を暑さに段階的に慣らしていくプロセスのことです。
約10日から2週間ほどの熱ストレスで、体に明確な変化が起こります。

暑熱順化でどれくらい効果がある?

暑さに慣れていないと、夏のライドでどれくらいパワーが落ちるのでしょうか。
本研究は気温37度程度の環境で、43.4kmのタイムトライアルを行うという内容です。
対象は9人と、決して大規模な研究ではありません。
ただし、順化前後の変化を直接比較した数少ないデータでもあります。

未順化の状態では、平均パワーが16%ほど低下していました。
1週間の順化後は、低下幅が8%程度まで縮みました。
2週間の順化を終えたころには、「低下幅はわずか3%台」に収まっています。
順応した選手と未順化の選手では無視できない差ができますね

厚生労働省https://www.mhlw.go.jp/content/001103539.pdf

なぜ効果があるのか?体に起こる3つの適応

ここからは、なぜ効果があるのか、体の仕組みを見ていきましょう。

循環器系の適応:血漿量が増える

暑さにさらされると、血液の液体成分である血漿が増えていきます。
血液中の水分量が増え、全身へ熱と酸素を運びやすくなる。
順応の速い人では、5〜6日ほどで血漿量の拡大が完了するとされています。

血漿が増えることで、筋肉と皮膚への血流の奪い合いが緩和されます。
その結果、同じ出力でも心拍数が安定しやすくなるのです。
つまり、心拍(BPM)が上がりにくくなるということです。

👉ロードバイクの心拍計はどっちがおすすめ?|腕時計・胸バンド本音で徹底比較

体温調節系の適応:汗の質と量が変わる

続いて現れるのが、「体温調節系の適応」。
熱ストレスにより汗の量自体が増えていきます。
さらに、汗に含まれる塩分濃度が下がっていく変化も起こります。

コペンハーゲン大学の研究チームが、選手を対象に詳しく調べています。
最初の5〜6日で汗の塩分濃度が75から52mmolへ低下しました。
同じ期間で、発汗量もおよそ20%増えていました

汗の塩分が薄くなると、ナトリウムの損失が減ります。
ナトリウムが守られると、血管内に水分をつなぎとめやすくなります。
つまり、運動中に脱水が起こりにくくなるということです。
その結果、心臓への負担が減り、心拍が安定しやすくなります。

ただし、ナトリウムの損失量には個人差があります。
汗が多い方や、もともと汗の塩分が濃い方は注意が必要です。
発汗量が増えるほど、補給をしっかり行うことが大切です。

体温が上がりにくくなる

もう一つ、見落とされがちな変化があります。
暑熱順化が進むと、深部体温が上がりにくくなっていきます。
同じ負荷をかけても、体の芯の温度が以前ほど上がらなくなるのです。

これは体が暑さを「脅威」ではなく「通常」として処理し始めた証拠。
ただし高強度で走り続ければ、いずれは深部体温が高熱に。
覚えて頂きたいのはバテる手前のラインが底上げされるということです。

実践的な暑熱順化プロトコル

上の論文では一週間で13時間のトレーニングをしています。1日約2時間。
これは37℃の猛暑で行われたトレーニングとなります。
それでは普通に達成が難しい。

ここからは、ロードバイク乗りが実践しやすいメニューを紹介します。
基本はシンプルです。
ゾーン2・60〜90分・エアコンと扇風機なし、これを連日14日間続けます。

期間やること
1〜14日目ゾーン2を60〜90分(エアコン・扇風機なし)を連日

順化を早めたいなら、ライド直後にそのまま「入浴」を。
40度前後・30分の入浴を加えるだけで、順化がより強く促進されます。

疲れが強い日は、無理せず休んで構いません。
休んだ分だけ順化の完了は遅れますが、夏バテでダウンするよりましですね。

順化の進み具合は、ガーミンのサイコンで確認できる機能があります。
対応機種ではパーセントで表示されますが、Edge 130 Plusは対象外です。
屋外ライドで気温データが取れる環境でのみ機能する点も覚えておいてください。
→ Garminサイコン比較記事はこちら

熱めの風呂で順化をつなぐ

仕事が忙しい日や、トレーニングの疲労が激しい日もあるはずです。
そういった日は、入浴単体で順化をつなぐことができます。
入浴単体の効果を検証した研究があります。

3回のセッションで、体温や心拍数に部分的な順化効果が確認されています。
運動と組み合わせた場合より効果は控えめです。
それでも、順化のシグナルを途切れさせないことには意味があります。

忙しい日も、疲れた日も、諦める必要はありません。
お風呂に入れば、順化をつなぐことができます。

まずは15分から20分を目安に始めてみましょう。
慣れてきたら、様子を見ながら30分程度まで延ばしても構いません。
ご自宅では体温を正確に測れないため、無理に長時間は避けてください。

順化効果はいつまで持続する?

一度順化しても、何もしないと少しずつ効果は落ちていきます。
暑さから離れた2日ごとに、1日分の順化が失われていく計算です。
ただし、減少速度は順化の期間によって変わります

7日未満の「短期順化」では、1週間は持続しますが2週間でほぼ失われます。
一方、7日から14日の「中期順化」ではもっと減衰が遅くなります。
完全に残り続けるわけではないという点は押さえておいてください。

効果を維持したいなら、完了後も熱ストレスを定期的に続けましょう。
5日ごとに熱暴露を行うと、25日後でも適応が保たれたという報告も。
できる範囲で続けることが、夏を通じてのパフォーマンス維持につながります。

なお、一度効果が落ちても、再順化は初回より速くできます。
26日空けても、7日間の再順化で効果が戻ったという報告があります。
あまり気負わず、また始めればいいと覚えておいてください。

まとめ

暑熱順化は、根拠のある形で夏のパフォーマンスを支えてくれる手段です。
血漿量や発汗の変化など、体の中で起きていることを知ると納得感も増しますね。

今年の夏にロングライドやイベントを予定しているなら、準備を始めてみてください。
2週間前から少しずつ暑さに慣らすのが目安です。
ただし過度の追い込みには気をつけてくださいね。

→ 室内ローラー台の汗対策グッズ4選はこちら

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